サステナビリティ
環境マネジメント
当社は、温室効果ガスの増加に伴う気候変動を事業活動に影響を与える重大な課題と認識するとともに、パリ協定に賛同し、同協定が定める目標の達成に貢献すべく気候変動の緩和に取り組みます。同時に、持続可能な社会の実現に向けた責務を果たすための指針として、環境方針を以下のとおり定めます。本方針の制定においては、取締役会にて決議しています。本方針は、当社の事業を展開する全ての国・地域が対象となります。
エネルギー利用の効率改善、資源利用の削減、生物多様性の保全、廃棄物削減の推進など、環境負荷の低減に努め、2030年までに電力使用などによる自社のCO2排出量を実質ゼロ(カーボンニュートラル)にすることを目指します。
環境マネジメントシステムを構築し、環境保全活動の取り組みについて定期的に見直しを行い、継続的な改善に努めます。重要な課題に対しては環境マネジメントプログラムを策定し目標を定め、環境活動を推進します。
事業活動に伴う環境関連法規制等を遵守し環境汚染の予防を推進します。
重要な環境課題の解決に向けて、様々なステークホルダーと協働し、持続可能な社会の実現に貢献します。また、すべての事業・サービスを通じて、すべてのステークホルダーに対して環境保全の意識向上につながる情報を積極的に提供し、環境保全活動への取り組みや成果を測定し、報告します。
従業員一人ひとりが環境意識を高め、自社の事業活動が環境に及ぼす影響についての理解を促進するため、適切な教育・研修を実施します。
こうした取り組みの適用範囲は、当社グループのあらゆる事業活動、投資に際してのデューデリジェンスやM&A、調達取引先や請負業者を含むビジネスパートナー及びその他の主要な取引先を含みます。
2023年7月1日改正
当社では、代表執行役社長CEOの責任のもと、環境マネジメントシステムを構築しています。
環境マネジメントシステムの運用や、環境関連法規制が遵守されているかを確認するため、定期的に内部監査を実施しています。さらに推進体制の整備や推進マニュアルの制定、環境方針に対する具体的な実施目標と実施計画についての進捗の定期的な確認を通して、環境に関する取り組みを継続していきます。
監査において抽出された指摘事項については、根本原因を探り、仕組みの改善などを実施することにより、事故・災害や違反などの未然防止につなげています。
気候変動への対応
当社は、2022年10月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)*」の提言への賛同を表明すると共に、本提言を踏まえ、気候変動に関連するリスクと機会の評価や管理を行い、適切な情報開示を行っていきます。
当社では、気候変動への対応を重要な経営課題と考え、カーボンニュートラルを柱とした積極的な対応を推進するため、取締役会が気候関連事項の監督を行っています。さらに、取締役会の管掌機関であり代表執行役社長CEOを委員長とするサステナビリティ委員会を設置しています。
サステナビリティ委員会では委員長である代表執行役社長CEOの責任の下、四半期毎に気候変動・環境への対応に係る諸課題を審議し、具体的な取り組みや環境汚染や地球温暖化などによる異常気象などのリスクに対する施策を検討・協議します。また、リスク・コンプライアンス委員会と連携してリスクの管理・低減を推進します。
サステナビリティ委員会で検討・協議された事項は、四半期毎に取締役会へ報告され、取締役会はこのプロセスを定期的に監督し、必要に応じて対応の指示を行います。
当社の事業にとって重要な気候変動に伴うリスクと機会を特定し、特定したリスクと機会について、発生の可能性とそのインパクトの大きさに基づき、影響度を評価しています。
気候変動に係るリスクについては、サステナビリティ委員会が取り組みに関する実行計画を策定し、各部門・グループ子会社とも連携しながら、進捗管理を行います。その内容については、サステナビリティ委員会から取締役会に報告され、取締役会は報告を受けた重要事項の対応について審議、決定します。このプロセスを経て、特に重要と評価された気候変動に伴うリスクと機会については、取締役会による監督体制の下、当社における企業リスクとして当社の戦略に反映し、対応しています。
当社では、複数の気候変動シナリオ(1.5℃と4℃)を用いて、短期(0~1年)、中期(1~9年)、長期(10~29年)の視点で、気候変動がもたらす異常気象等の物理リスクと、気候変動抑制に向けた政府による政策規制の導入等の移行リスクの検討を行っています。そして、その結果として特定されたリスクと機会を当社の戦略に反映し、対応しています。
シナリオ分析においては、IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)や国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)等の国際機関及びそれに準ずる調査機関が発⾏するレポート*を参照しています。
1.5℃シナリオでは、日本国内における炭素税の導入および、再生可能エネルギーの普及が促進されることによる、再生可能エネルギー発電促進賦課金価格の変動や、ステークホルダーによる環境課題への関心が高まる中で、当社の取り組みが不十分であると判断された場合の株価低下など、当社の企業活動に一定の影響を与えるリスクがあります。一方で今後、社会全体が気候変動抑制への取り組みを進める中で、省エネルギー建築や省エネルギー電化製品といった環境配慮型商品・サービスへの需要のさらなる高まりや、再生可能エネルギーへの移行プロセスにおいて新規ビジネスが生み出される可能性があります。こうした新市場およびビジネス機会の創出やBPO市場の拡大、BCP対応ニーズの増加は、新たなサービスの社会実装を推進する役割を担う当社にとって、売上収益を拡大する機会になると認識しています。
また、4℃シナリオでは、特に物理的リスクにおいて、自然災害(台風、洪水、高潮等)による被害や、気温上昇に伴う空調電力消費量の増加による電力コストの上昇は、当社の事業に一定の影響を与える可能性があります。
当社の事業モデルは、環境への或いは環境からの影響が極めて小さいため、どちらのシナリオにおいても、事業および財務に対する大きなリスクは短期的にも中長期的にも無いものと現時点では判断しています。一方で気候変動への対応は重要な経営課題でもあるため、当社は、2030年までに自社のCO2排出量を実質ゼロ(カーボンニュートラル)にすることを目指し、積極的な対応を推進しています。具体的には以下の取り組みを実行することで、カーボンニュートラル達成を目指します。
2つのシナリオにおけるリスクと機会、事業および財務への影響は以下の通りです。
区分 | 時間軸* | 影響度 | 自社に及ぼす影響 | 対応 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
リスク | 移行リスク | 政策と法 | 中~長期 | 低 | 温室効果ガス排出抑制に関する政策導入や規制強化に伴い炭素税の税率が引き上げられることによる税負担の増加 | 自社のCO2排出量を抑制するため、2023年より使用する電力を再生可能エネルギー(グリーン証書)で調達し、2030年には使用電力のすべてについて再生可能エネルギーへの移行を目指します。CO2排出量を実質ゼロとすることで、炭素税の負担コストをゼロとすることが可能となります。 |
評判 | 中~長期 | 低 | 環境課題への取り組みが消極的であるとみなされた場合の株価・企業イメージの低下 | 気候変動関連問題を含むESG諸課題への取り組みの推進と情報開示、また経営戦略への反映などを通じて、株主・投資家をはじめとするステークホルダーとの対話に努めていきます。また、CDPをはじめとする各評価機関のESGスコアリングの向上および情報開示の拡充に継続的に取り組みます。 | ||
物理リスク | 急性リスク | 短~中期 | 低 | 水災害による業務遂行支障(稼働率低下)への影響や復旧対応に伴うコスト増加または移転に伴うコスト増加 | サーバー設置地域の⽔没や損壊リスクのモニタリングを行い、リスクが一定程度に達した際には移転や代替サーバー等の検討を行います。災害が発生した際には、人と人をつなぐ社会インフラとしての役割を有していることもふまえ、当該リスクの抑制に向けた拠点の分散化やBCP対応の強化に努めています。 | |
慢性リスク | 中~長期 | 低 | 気温上昇に伴う設備冷却用空調電力の消費量増加による電力コストの増加や職場環境改善への投資コストの増加 | 電力使用量を抑制するため、クールビズ/ウォームビズの推奨、執務室の空調温度の調節、機器類の不要不急時の停止等に継続的に取り組みます。 | ||
機会 | 市場 | 中~長期 | 低 | 気候変動課題への対応に伴う新しいビジネス機会の創出やBPO市場の拡大、BCP対応ニーズの増加による成長機会の獲得 | 新たな市場の開発や新規ビジネス獲得のチャンスを活用するために、需要の拡大に応じた稼働キャパシティの確保に機動的に対応します。 | |
評判 | 中~長期 | 低 | 環境課題への取り組みが優れていると顧客や投資家が判断した場合の株価・企業イメージの上昇 | 気候変動関連問題を含むESG諸課題への取り組みの推進と情報開示、また経営戦略への反映などを通じて、株主・投資家をはじめとするステークホルダーとの対話に努めていきます。また、CDPをはじめとする各評価機関のESGスコアリングの向上および情報開示の拡充に継続的に取り組みます。 |
当社では、GHGプロトコルに則り、オフィス及び事業活動におけるライフサイクル全体で排出される温室効果ガス排出量(スコープ1,2,の絶対量*)を、気候変動に伴うリスクと機会を管理する指標に定めています。
当社は、SDGsの持続可能な開発目標である2030年までに、スコープ1、2による自社のCO2排出量を実質ゼロ(カーボンニュートラル)にすることを経営戦略として定めています。再生可能エネルギーの積極的な活用等(2022年度から導入済)によりCO2排出量削減と気候変動への適応に貢献します。
スコープ3の排出量については、環境省・経済産業省が定めた「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン」に準拠し算定しています。今後は目標設定を行う予定です。
(単位:t-CO2) | 2018年 12月期 |
2019年 12月期 |
2020年 12月期 |
2021年 12月期 |
2022年 12月期 |
2023年 12月期 |
---|---|---|---|---|---|---|
スコープ1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
スコープ2 | 757 | 870 | 1,017 | 1,447 | 1,416 | 1,446 |
スコープ3 | - | - | 4,993 | 6,757 | 7,878 | 4,789 |
カテゴリ1(購入した製品・サービス) | - | - | 4,147 | 5,809 | 6,677 | 3,653 |
カテゴリ6(出張) | - | - | 431 | 454 | 673 | 659 |
カテゴリ7(雇用者の通勤) | - | - | 415 | 493 | 528 | 477 |
従業員1人当たりの排出量 | 0.024 | 0.023 | 0.129 | 0.130 | 0.129 | 0.100 |
売上高当たりの排出量 (t-CO2/百万円) |
0.056 | 0.051 | 0.268 | 0.271 | 0.268 | 0.232 |
(単位:MWh) | 2018年 12月期 |
2019年 12月期 |
2020年 12月期 |
2021年 12月期 |
2022年 12月期 |
2023年 12月期 |
---|---|---|---|---|---|---|
スコープ1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
スコープ2 | 1,714 | 2,359 | 2,855 | 3,820 | 4,328 | 4,300 |
(単位:MWh) | 2018年 12月期 |
2019年 12月期 |
2020年 12月期 |
2021年 12月期 |
2022年 12月期 |
2023年 12月期 |
---|---|---|---|---|---|---|
スコープ1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
スコープ2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 558 | 558 |
(単位:%) | 2018年 12月期 |
2019年 12月期 |
2020年 12月期 |
2021年 12月期 |
2022年 12月期 |
2023年 12月期 |
---|---|---|---|---|---|---|
スコープ1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
スコープ2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 11.4 | 11.5 |
気候関連問題は社会全体として対処すべきリスクではありますが、当社においては現時点で経営に重要な影響を与える水準にはないと考えています。また、当社グループが事業を展開するコンタクトセンター、フィールドセールス、営業BPO、人材派遣等のビジネス領域は、エネルギーを大量に消費する産業ではないため、気候変動によって大きな経済的影響を受けるリスクは業界全体としても大きくないと認識しています。しかしながら、気候関連問題は当社においても将来に向けては重要なリスクとなりうるため、今後は業界団体あるいはその他のイニシアチブにおけるエンゲージメント活動にも取り組む必要があると認識しています。
クールビズ/ウォームビズを推奨するとともに、空調設備の設定温度を夏季は高めに、冬季は低めに設定するなどの執務室の空調温度の調節、不要不急の機器の停止、役員及び従業員の環境意識醸成等の施策を通じた節電に取り組んでいます。
社内の申請・承認システムを活用し、各種申請書・報告書などの紙資源の電子化を実施するほか、掲示物などを社内イントラネットに開示することで紙使用量を削減しています。また、情報セキュリティの観点から、センター内への紙の持ち込みや持ち出しを禁止し、個人情報などはすべて電子化して保管することで、ペーパーレス化を推進しています。
さらに、印刷時に個人ごとに発行されるIDカードで、個人認証をした上で印刷する仕組みを導入し、コピー用紙の使用量把握と削減のための意識啓発を行っています。
石灰石でできた名刺を利用することで、紙の原料である樹木の伐採を回避し、木材資源使用量の削減に努めています。また、製造過程でほとんど水を必要としないため、水資源消費量の削減にも貢献しています(名刺100枚で10Lの水を削減)。
当社では従業員に対して、環境活動に対する意識向上や、自社の事業活動が環境に及ぼす影響についての理解促進を目的とした研修を実施しています。